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作成日:2025.03.26 最終更新日:2025.04.12

シニア・高齢者に向けたデプスインタビューのやり方を解説|費用や質問項目・活用事例も紹介

シニア・高齢者に向けたデプスインタビューのやり方を解説|費用や質問項目・活用事例も紹介

シニア・高齢者のニーズを知るために、デプスインタビューを考える企業も多いでしょう。デプスインタビューは1対1で深い対話をするため、深層心理や価値観に迫ることが可能です。とはいえ、「どのように実施したらよいか?」と悩むケースも多く見受けられます。

そこで当記事では、シニア・高齢者に向けたデプスインタビューのやり方について解説します。費用相場や活用事例なども紹介するため、デプスインタビューへの理解を深めたい人は、ぜひ参考にしてください。

目次

コスモラボのデプスインタビュー

コスモラボは、約40年にわたりシニア市場と向き合い、豊富なノウハウを活かした「独自のグループインタビューサービス」を展開しています。モニターの83%が60歳以上であり、オンラインでの発信が苦手な70代・80代も含めた幅広い層にアプローチできます。

対面調査にも強みがあり、シニアの特徴を踏まえたうえで、的確な聞き取りが可能です。シニア・高齢者向けのデプスインタビューを成功させたい場合には、コスモラボにお任せください。

デプスインタビュー (インデプスインタビュー)とは?

デプスインタビューとは、少数の対象者に行う「深掘り型の調査」です。対面(オフライン)またはオンラインで実施し、基本的に1対1の対話形式で行います。表面的な質問にとどまらず、モニターの深層心理や意見を知ることが目的です。
対面(オフライン)の場合には、調査中の表情や仕草などの非言語コミュニケーションも読み取りやすいでしょう。オンラインの場合には、遠方の参加者や外出に不安を覚える方も参加しやすいことが特徴です。調査の目的や対象者の特性に応じて、対面とオンラインを使い分けるとよいでしょう。

デプスインタビューのメリット・効果について

デプスインタビューには、さまざまなメリットや効果があります。ここでは、4つのメリットについて解説します。

詳細な内容を知ることができる

デプスインタビューは、「深掘り質問」と呼ばれる質問テクニックを使用するため、対象者の深層心理を把握しやすいことが特徴です。1対1の環境だからこそ、参加者は他者の目を気にすることなく本音を語れるでしょう。

また、基本的に1人を相手にするため、1つの質問に時間をかけられます。角度を変えながら質問を繰り返すことで、心の奥にある本音を引き出しやすいため、グループインタビューよりも詳細なデータを収集しやすいでしょう。

リアルな顧客感情を把握できる

1対1で実施されるデプスインタビューは、プライバシーが確保された状態でインタビューするため、率直な意見を述べてもらいやすいことが特徴です。

グループインタビューでは、「普通」と表面的に答えるケースでも、デプスインタビューであれば「実は持ちにくくて不便だ」といったリアルな感情を共有してもらえるでしょう。リアルな顧客感情は、製品開発やマーケティング戦略にとって貴重なデータになります。

センシティブな内容も収集しやすい

デプスインタビューは1対1で実施するため、人前では話しにくいデリケートな話題も話してもらいやすくなります。身体の悩みやお金の問題といったセンシティブな内容も、1対1の場であれば、本音を話しやすいでしょう。家族との関係性や孤独感など、センシティブな情報を収集したい場合には、デプスインタビューが適しています。

オンラインでも実施しやすい

デプスインタビューは個別対応であるため、オンラインでも実施しやすいことが特徴です。Zoomなどのツールを活用することで、遠隔地に住む高齢者や外出が難しいシニアなども参加できるでしょう。

一方、グループインタビューを「オンライン開催」する場合、参加者はそれぞれの場所から参加します。そのため、「誰かが話すと他の人は話せない」「距離感ができてしまう」といった問題が発生する可能性があります。

デプスインタビューのデメリットについて

デプスインタビューには多くのメリットがあるものの、デメリットも存在します。主なデメリットは、以下の通りです。

コストがかかる傾向にある

デプスインタビューは、時間とコストがかかる傾向にあります。例えば10人の意見収集には10回のセッションが必要です。グループインタビューと比較すると、調査時間が長くなる傾向にあるでしょう。

また、デプスインタビューで本音を引き出すには、潜在的な本音も抽出するなどインタビュアーに専門性が求められます。専門人材に支払う人件費も、グループインタビューと比較すると高くなりがちです。しかし、得られる情報の質を考慮すれば、適切な投資といえるでしょう。

サンプル数が限られる

デプスインタビューは詳細を得られる一方で、サンプル数に制約があります。同じ予算や期間で比較すると、グループインタビューより対象者数が少なくなるでしょう。例えば100人規模のグループインタビューと比べると、デプスインタビューで実施できるのは「5〜10人程度」です。多くのサンプルが必要な場合には、アンケートなどの量的調査と組み合わせるのもよいでしょう。

担当者に一定のスキルが必要

デプスインタビューは限られた1回の機会で、対象者から有用な情報を引き出さなければなりません。そのため、インタビューを実施する担当者には、質問を深掘りするテクニックが求められます。1人のターゲットから最大限の情報を収集するには、対話の流れをコントロールし、引き出したい本音を導くスキルが欠かせません。
また、モニターが安心して語れる雰囲気づくりや、中立的なアプローチも不可欠です。

高齢者・シニア層に向けたデプスインタビューの実施手順

デプスインタビューを行う際には、適切な手順を踏む必要があります。高齢者・シニア層に向けたデプスインタビュー実施の手順は以下の通りです。

調査の課題を決める

まずは、調査で明らかにしたい課題を決めます。例えば、シニア向けのスマートフォンの開発を想定します。シニア向けのスマートフォン開発では、デジタル機器に対する高齢者の意識や、どういった行動をとるかを理解する必要があるでしょう。その際に、例えば「スマートフォンの操作に不安を感じるシニアが多い」といった仮説が立てられます。
デプスインタビューの調査課題として、高齢者がスマートフォンに抱く心理的・物理的なハードルを明らかにすることが挙げられます。

質問項目を設計する

先に立てた「スマートフォンの操作に不安を感じるシニアが多い」といった仮説を検証できるよう、適切な質問を設計しましょう。
また、質問の流れも重要です。本題では、「普段、どういったデジタル機器を使っているか」といった、答えやすい内容を聞きます。その後、核心に迫る部分として、「スマートフォンの操作で困ること」などを聞くとよいでしょう。最後に、「理想とするスマートフォンのイメージ」や「使いやすくするためのアイディア」といった質問をします。

実施会場を選ぶ

続いて、「オンライン開催」か「オフライン開催」を選びます。例えば、目の前でスマートフォンを操作してもらいたければ、オフラインでの実施が適切でしょう。一方で、遠方に住むシニアの意見も集めたい場合、地理的な制約を受けないオンライン開催が適しています。
オフライン開催の場合には、会場選びも重要です。高齢者向けの会場選びでは、「アクセスのしやすさ」「バリアフリーへの配慮」も意識します。提携会場や自社会場を保有する調査会社を利用すれば、会場選びの手間が省けるでしょう。

適切な対象人数をスクリーニングする

調査の課題・質問内容・会場が決まったら、デプスインタビューに参加してもらう対象者を選びます。 以前は、シニアのモニターを選ぶ際には電話が主流でした。しかし、詐欺への警戒心により、見知らぬ電話に出ない高齢者も増えています。また、Webでのアプローチも有効なものの、全ての高齢者に適するわけではありません。
効果的にスクリーニングをしたい場合には、郵送・電話・Web併用のハイブリッドアプローチがおすすめです。

事前課題があれば送付する

参加するモニターに対し、事前課題を送付する必要があれば、郵送やWebなどで対応します。例えば、スマートフォン開発であれば、現在使用している携帯電話の使いづらさや理想の機能を記載してもらうことで、インタビュー当日の議論をスムーズに展開できるでしょう。
事前課題を送るタイミングは、調査日の1週間前までが目安です。事前課題を送付することで、モニターに「調査の意図を理解してもらう」ことにも繋がるでしょう。

デプスインタビューを実施する

実際のデプスインタビューでは、オンライン・オフラインともに、「大きな声で話す」や「相手の意見に耳を傾ける」といった対応が求められます。また、高齢者の記憶力や認知能力などを踏まえ、繰り返し話をしてあげるといった、忍耐強いアプローチも必要です。
視覚や聴力に不安があるシニアには、筆談や補助資料の活用も検討するとよいでしょう。また、参加者の疲労に配慮し、適度な休憩を設けながら進行することも大切です。

データを分析・報告書を作成する

インタビューで収集した内容をもとに、データ分析と報告書作成を行います。収集したデータは断片的な情報として扱うのではなく、意味のある内容に変化させます。例えば、スマートフォンに対して「文字が小さくて見えにくい」といった意見は、視力の衰えだけでなく、デジタル社会からの疎外感が背景にあるかもしれません。
報告書作成では、分析結果を踏まえ、スマートフォン開発で実行可能な施策(例:シニア向けの操作ガイド)も含めます。必要に応じて、追加のヒアリングや補足調査を実施してもよいでしょう。

シニア・高齢者にデプスインタビューを行う担当者に必要な要素

デプスインタビューには、インタビュー担当者に一定以上のスキルが必要なことも事実です。ここでは、シニア・高齢者にデプスインタビューを行う際に、担当者に求める要素を紹介します。

シニアに配慮した聞き方ができる

シニアにインタビューする場合、「ゆっくりと対話する」「脱線した話題を自然に戻す」といった聞き方が必要になります。
例えば、「スマートフォンでメールをしますか?」という質問への回答から、孫との思い出話に脱線した場合には、「お孫さんとスマートフォンでメールをすることはありますか?」と自然に話題を戻しましょう。また、モニターの回答が聞き取りにくい場合には、「申し訳ございません。もう一度ゆっくりと教えていただけますか?」と、敬意を示しながら対応します。

中立性と客観性の維持

シニア世代は長年の人生経験から、物事を独自の視点で解釈する傾向があります。例えば、スマートフォンについて質問した場合、「若い人たちはスマホを使っているから、人間関係が希薄だ」といった価値観を述べることがあります。価値観は主観的な解釈であり、研究目的からずれる可能性もあるでしょう。
インタビュアーも同調してしまうと、客観性が持てなくなり、適切に調査ができなくなる可能性があります。シニアの発言を尊重しつつ、偏りのない姿勢が必要です。

シニアとの信頼関係を構築する能力

シニアから本音を聞くには、相手から信頼を得ることも大切です。表面的なコミュニケーションだけでは、なかなか信頼を得られないでしょう。
信頼関係を構築するには、インタビューの「前段階のふるまい」も重要です。例えば、事前に送付する手紙やメールで感謝の言葉を伝えます。また、インタビュー中は一方的な質問を避け、相手のペースにも配慮しましょう。

シニア・高齢者向けデプスインタビューの費用相場

ここでは、シニア・高齢者向けデプスインタビューの費用相場について解説します。

デプスインタビューの基本的な費用相場

デプスインタビューの費用は、主に「調査会社への委託費用」と「参加モニターへの謝礼」で構成されます。調査会社への委託費用の相場は、15万円前後です。ここには、調査企画・スクリーニング・会場手配などの料金が含まれます。
参加モニターへの謝礼相場は、1人1万円前後です。デプスインタビューは通常「6~8名」ほどで実施されるため、謝礼のトータル金額は6~8万円だといえます。
以上のことから、「調査会社への委託費用」と「参加モニターへの謝礼」を合計すると、デプスインタビューの相場は20~30万円ほどです。ただし、調査内容によって金額は上下します。

追加料金について

デプスインタビューでは、基本料金に加えて、以下のような追加料金が発生するケースがあります。
・特殊なリクルーティング
・遠隔地への交通費
・通訳や付き添いスタッフの配置
他にも、インタビュー後の文字起こしや詳細な分析レポート作成、動画録画なども、追加料金が発生することがあるでしょう。デプスインタビューを依頼する際には、追加料金の詳細も確認する必要があります。

高齢者・シニア層へのデプスインタビュー活用事例

続いて、高齢者・シニア層への「デプスインタビュー活用事例」を紹介します。

健康サービスを提供するA社

健康関連グッズを開発・販売するA社では、新たな介護製品の開発に向けて、シニア層の「健康への悩み」や「医療サービスへの潜在的なニーズ」を探るためにデプスインタビューを実施することになりました。グループインタビューとは異なり「1対1で対話」することから、参加したシニア達は、身体的や精神的な悩みも詳細に語ってくれました。本音をベースに新たな介護用品を開発したところ、既存商品を上回る勢いで売れています。

旅行・レジャー事業を展開するB社

旅行・レジャー事業を展開するB社では、デプスインタビューを通じて、シニアの消費行動を分析しました。実際のインタビューでは、「退職後の経済状況」「余暇に対する価値観」「デジタル技術との関わり方」などを探ることになりました。
その結果、「シニアの旅行に対する思い」や「シニアの旅行スタイルの変化」を理解できました。収集したデータをもとに、新たな「シニア向けの旅行プラン」をリリースしたところ、多くの予約が入っているとのことです。

コミュニティ事業を展開するC社

地域活性化を目指すC社は、デプスインタビューを通じて、シニア層の「社会に対する考え」と「生きがい」に関する本音を調査しました。その結果、地域の中小企業や起業家に向けた「メンタリングプログラム」を立ち上げることになりました。メンタリングプログラムでは、元エンジニアや元社長など、様々なシニアのスキル・経験をもとに、地元の若手起業家などに向けてアドバイスを行います。シニアの「社会に貢献したい」という思いと、地元の起業家の「経営課題解決」から、双方がwin-winな関係になり、地元の活性化に繋がっています。

シニア向けのデプスインタビューなら、高齢者の市場調査に特化したコスモラボにお任せください

シニア層の市場調査に特化しているコスモラボは、幅広いシニアへのアプローチが可能です。シニアの特徴を踏まえた的確な調査手法が強みであり、適切に本音を引き出せます。

デプスインタビューの実施・企画・分析・報告書作成まで、シニアマーケティングに特化したソリューションを提供できることも特徴です。シニア向けのデプスインタビューが初めての場合や、インタビューに関する一連の作業を依頼したい場合にも、安心してご利用いただけます。

シニア向けのデプスインタビューを成功させたい場合には、ぜひ以下からお問い合わせください。