- シニア調査
作成日:2025.07.29
シニア向けビジネスで結果を出すには?成功事例やポイント・メリットについて解説
今後、日本では高齢化が加速する見通しです。このような背景のなかで、シニア層をターゲットにしたビジネスに参入する企業も増えています。シニア向けのビジネスを成功に導くためには、どのような視点やポイントが求められるのでしょうか。
本記事では、シニア向けビジネスの成功事例から、特徴やメリット、成功させるためのポイントまで解説します。シニア向けビジネスで成果を高めるために、ぜひ参考にしてください。
目次
シニア向けビジネスとは?

シニア向けビジネスとは、高齢者を対象とした商品やサービスを提供する事業のことです。ここでは、シニア向けビジネスのターゲットや、シニアビジネスの可能性について解説します。
ターゲットとなるシニア
シニアとは、主に65歳以上の人を指します。しかし、シニア向けビジネスでは、65歳以上の人を一括りで考えず、細分化することが大切です。なぜなら、価値観や置かれている状況が異なるなど、多様なシニアが存在するからです。またシニア向けビジネスを考える際には、シニアを以下の4つに分類して考えます。
- アクティブシニア: 健康かつ活動的で、自己実現や豊かな生活を求める傾向にある
- ディフェンシブシニア: 健康に不安を感じ始めており、医療や健康維持に関心が高い
- ケアシニア: 介護を必要としている、もしくはその可能性が高い
- ギャップシニア: 介護は必要でないものの、「できること」と「やりたいこと」にギャップがある
ターゲットを明確にすることで、効果的な戦略を立てやすくなります。
シニア向けビジネスの可能性
シニア向けビジネスの市場規模は、日本の高齢化社会の進展とともに、拡大の一途をたどっています。また、日本における65歳以上の人口は総人口の約3割を占め、今後もこの割合は増加する見込みです。さらに健康寿命も延びており、シニア層の消費行動も活発化しています。
健康・医療・介護といった従来の分野に加え、旅行・趣味・学びなど、幅広い分野で新たな需要が生まれていることも特徴です。シニアビジネスという巨大な市場は、多くの企業にとって、「新たなチャンスを獲得できる場」になり得るでしょう。
シニア向けビジネスに取り組むメリット

日本において、シニアをターゲットとしたビジネスは大きな注目を集めています。シニア向けビジネスに取り組むメリットは、以下の通りです。
成長が見込める市場である
日本では、この先もますます高齢化が進む見通しであり、シニア層の人口割合は拡大し続ける模様です。厚生労働省の調査によると、2025年時点において「総人口に占める65歳以上の割合は約3割」であり、2040年にはさらに増加すると見込まれています。
巨大化しつつある「シニア向けビジネス」の市場に今から参入することで、市場の成長とともに、中長期的な成長を見据えた取り組みが期待できます。
参照元:厚生労働省_我が国の人口について
多様な事業展開が可能になる
シニア市場は多様であるため、一括りにはできません。元気で活動的な「アクティブシニア」から、介護や医療を必要とする層まで、ニーズは多種多様です。シニアのニーズは多様であることから、各企業の異なる強みを、それぞれのシニアに向けて提供することが可能です。
例えば、現在はフィットネス事業を展開しており、健康志向の高いアクティブシニアに支持されているとしましょう。今後、事業をヘルスケア機器の開発・販売にシフトした場合、自宅での健康管理を重視するプレシニアや、軽度の健康不安を抱えるシニアなどを対象に、新たな提案が可能です。
新たな収益源を確保できる
これまで、若年層やミドル層をターゲットとしていた企業でも、シニア層に目を向けることで新たな収益機会を創出できる可能性があります。シニアは若年層やミドル層とは異なる価値観を持つことが多く、既存の商品・サービスでも、新たな切り口でアプローチできるかもしれません。
例えば、若者向けのスポーツジムを運営している企業が、シニア向けのプログラムを追加することで、これまでリーチできなかった層を獲得できる可能性があります。また、シニアは時間的余裕があることも多く、平日昼間などの閑散時間帯の利用も期待でき、施設の稼働率向上にもつながるでしょう。
イメージ向上につながる
シニア向けビジネスに取り組むことで、企業のブランドイメージ向上にも貢献する可能性があります。なぜなら、高齢者やその家族の課題解決につながるサービスや商品は、社会的な意義が高いからです。企業の社会的責任を示すことにつながり、顧客・地域社会・株主といったステークホルダーからの評価を高めることも期待できます。
また、社会貢献度の高い事業に取り組むことで、従業員のモチベーション向上や企業への誇りの醸成にもつながります。働きがいの向上にも直結し、優秀な人材の確保や離職率の低下といった効果も期待できるでしょう。
シニアビジネスの主要分野と最新動向

ここでは、シニアビジネスの「主要分野」と「最新動向」について解説します。シニア向けビジネスを成功させるには、どのような分野が注目されているかや、最新動向をチェックすることが大切です。
ヘルスケア・ウェルネス
健康寿命が延びるなかで、単に長生きするだけではなく、活動的に人生を楽しみたいと願うシニアも増えています。そのため、「疾病の予防」「健康維持」「リハビリテーション」など、幅広いヘルスケアサービスに対する需要が拡大していることも特徴です。日々の健康状態を可視化するウェアラブルデバイスや、個々のデータに基づき最適なアドバイスを提供するAI活用型の健康管理サービスなど、テクノロジーを駆使したアプローチも注目を集めています。
住環境・住宅設備
「人生の後半を、快適かつ安心して過ごしたい」と考え、住環境を整えるシニアも少なくありません。例えば、段差をなくすといった基本的なバリアフリー改修などが挙げられます。また近年では、IoT家電や遠隔操作システムなどを導入した「スマートホーム技術」も注目されています。
シニア自身が快適な生活を送れるだけでなく、遠方の家族も安心できるような、利便性と安全性を兼ね備えた住まいづくりが進みつつあることも特徴です。
見守りサービス
核家族化が進行し、高齢の親と離れて暮らす世帯も多いでしょう。こうした状況下で、家族の安心を願う気持ちから、見守りサービスへの関心が高まっています。
例えば、カメラを活用した遠隔見守りシステムは、離れていても家族の様子を把握することが可能です。また定期的な安否確認サービスでは、異変があった際に、速やかに必要な機関にアクションしてくれます。
最新動向としては、AIを活用した見守りサービスが進化しています。 例えば、センサーが異常を検知したり、いつもと違う行動パターンを学習して通知することで、早期に異変を察知することが可能です。
生涯学習・趣味
シニア層には、「定年退職」や「子育ての終了」などで、時間に余裕がある人も多く見受けられます。そこで、空いた時間を新たな知識の習得や趣味などに充当する人も多いでしょう。
昨今では、ITを活用した「オンラインで手軽に学べる講座」や「地域に根差したコミュニティプラットフォーム」などが注目されています。また、健康維持を目的とした運動系の講座や、脳トレを兼ねたアート系のワークショップなども人気です。
レジャー・旅行
以前と比較すると、シニアの健康寿命は延びており、元気に活動する人も増加傾向です。こうしたシニアのなかには、積極的にレジャーや旅行を楽しむ人も見受けられます。
以下のように、多様なニーズに合わせた旅行商品も各社から販売されています。
- 健康志向の高まりを反映したウォーキングツアー
- 温泉での療養ツアー
- 少人数でゆっくりと観光できるシニア専用ツアー
昨今では、単なる観光ツアーに留まらず、体験や交流を通じてリフレッシュできるような、「付加価値の高い内容」が求められる傾向にあります。
就労・社会参加のサポート
昨今では、「定年退職後も働き続けたい」や「社会とのつながりを持ちたい」と考えるシニアも増えています。同時に、少子高齢化による労働人口の不足から、シニア層を積極的に採用したいと考える企業も増加中です。そのため、「働きたいシニア」と「シニアを採用したい企業」のニーズを結びつけるサービスも活発化しています。
~サービス例~
- 再雇用サービス
- ボランティア活動のマッチング
- シニア起業のサポート
金融・資産管理
多くのシニアは定年退職を迎えており、働いている場合にも、現役世代と比べると収入が限られる傾向にあります。そのため、多くのシニアは年金・退職金・これまでの貯蓄を頼りにする傾向にあるでしょう。このような状況から、老後の生活資金管理や資産運用について、真剣に考えるシニアが増えています。
昨今では、シニア向けの「金融・資産管理向けのビジネス」として、資産運用サービスや相続対策サービスなどが注目を集めています。
シニア向けビジネスを成功させるポイント

シニア向けビジネスを成功させるには、いくつかのポイントを押さえることが大切です。ここでは、シニア向けビジネスを成功させるための重要なポイントを紹介します。
シニアの声を活かす
シニア向けビジネスで成功するには、シニアの声に耳を傾ける姿勢が不可欠です。シニア層の価値観や生活スタイルは、ほかの世代とは異なります。またリアルな意見を聞くことで、机上では見えない発見もあるでしょう。
例えば、若い世代では容易に思える機能が、シニアにとってわかりにくい場合があります。「安心・安全」への考え方も異なる傾向にあり、安さよりも信頼性やサポートを求めることもあるでしょう。シニアの声を知るには、インタビュー・アンケート・モニター調査などが有効です。「困っていること」「求めていること」などがわかるため、商品やサービス設計において貴重な情報源となります。
ターゲットを明確にする
「シニア」と一口にいっても、ライフスタイル・健康状態・家族構成などは様々です。健康で活動的なシニアもいれば、介護を必要とするシニアもいます。また、家族と同居している人もいれば、単身世帯で生活する人もいるでしょう。
シニア向けビジネスを成功させるには、漠然と「シニア層」を対象とするのではなく、どのようなシニア層をターゲットにするのかを明確にすることが大切です。そのためには、具体的なペルソナ設定が欠かせません。
シニア以外にも目を向ける
シニア向けの商品・サービスについて、シニア以外が利用するケースも見受けられます。例えば、高齢者を見守るオンラインカメラは、高齢者本人よりも「家族が利用するケース」が多いでしょう。このように、サービスの最終的な利用者がシニアであっても、購入や決定を行うのは本人以外であるケースも少なくありません。したがって、ビジネスを設計する際には、家族・介護者・地域の支援者などの「シニアを取り巻く人々」にも目を向けることが重要です。
最新の市場動向を把握する
シニア市場は、成長性と同様に、変化のスピードも速いという特徴があります。新たなプレイヤーが次々と参入し、革新的なサービスが生まれる一方で、行政や自治体による新しい政策や補助金制度などが発表されることも日常茶飯事です。
変化し続けるシニア市場で競争力を維持するには、常にアンテナを張り巡らせる姿勢が求められます。他社の新商品・新サービス・公的な支援制度など、最新の動向をキャッチアップすることが不可欠です。
専門知識を取り入れる
シニア向けビジネスを展開する際に、一般的なマーケティング手法では対応しきれないことがあります。なぜなら、シニアに即した専門知識や独特のアプローチが求められるケースも多いからです。シニア特有の身体的変化・心理状況・コミュニケーションの取り方など、多岐にわたる知識が求められます。
自社だけで対応できない場合には、シニアマーケティングに特化した機関などの「専門家のノウハウ」を活用するのも一案です。シニア向けビジネスに強い専門家との協働によって、より精度の高いビジネス展開が期待できます。
シニア向けビジネスの成功事例

高齢化が進む日本では、シニアをターゲットとしたビジネスが、多様な分野で成功を収めています。各事例から見えてくるのは、シニアのニーズや、その家族の願いに寄り添うことの重要性です。ここでは、具体的な成功事例を通して、シニアビジネスのヒントを探ってみましょう。
鉄道会社が提供する、高級寝台列車A
某鉄道会社が提供する高級寝台列車Aは、「豪華な車両デザイン」と「時間に縛られないゆったりとした旅のスタイル」で、多くのシニアから人気を集めています。50万円から100万円以上という価格帯にもかかわらず、予約が困難なほどの人気を博しています。
その理由は、人生を豊かにする特別な体験を提供しているからです。旅行中の快適さや、細やかな気配りが行き届いたおもてなしは、心ゆくまで贅沢な時間を過ごしたいと願うシニア層から絶大な支持を得ています。また毎回ルートや行き先が異なるため、リピーターになった人が、「次はどこへ連れて行ってくれるのか」という期待感を持ち、リピートするケースも見受けられます。
高齢者向け食事宅配サービスB
食事宅配サービスBは、シニアだけでなく、子育てで忙しい家庭やフルタイムで働く人にも人気です。また、サービスが高齢者から評価されている理由は、単に「栄養バランスに配慮した高齢者向けメニューを提供している」からではありません。
配達時の安否確認や、定期的な見守りサービスといった付加価値を提供している点にあります。そのため、サービスを利用するシニアだけでなく、離れて暮らす家族も安心できると好評です。実際に、離れて暮らす家族が「親に栄養バランスの取れた食事をしてもらいたい」「日常的に見守りをしてほしい」という思いから、サービスを契約するケースも見受けられます。
シニア向けスマートフォンC
有名電機メーカーが販売するシニア向けスマートフォンCは、テクノロジーに不慣れな高齢者でも快適に利用できるよう、徹底的に使いやすさを追求していることが特徴です。「大きな文字表示」「直感的な操作が可能な画面デザイン」「音声操作機能の搭載」など、細やかな配慮が施されています。
スマートフォンCの登場によって、テクノロジーに不慣れなシニアもスマートフォンを使えるようになり、家族や友人と連絡する人が増えました。また、「趣味の情報収集をする」「SNSを活用する」などが可能になり、生活の質が向上したという声もあります。
シニア向けビジネスは大きな可能性を秘めるものの、知識が不可欠
今後の日本において、シニア向けビジネスは成長が期待される市場の一つです。しかし、単に「高齢者向け」の商品やサービスを提供すれば成功するような、単純な仕組みではありません。市場で成功するには、シニアに対する理解が不可欠です。
加えて、シニア層の多様化する実情を知ることも重要です。一般的にシニアは「アクティブシニア」「ケアシニア」「ギャップシニア」「ディフェンシブシニア」に分類できます。しかし、各分類のなかでも、価値観やライフスタイルなどは細分化されます。つまり、シニア層には一律のアプローチでは響きません。
シニアに関する専門知識を総合的に活用し、シニアが真に必要とし、価値を感じるビジネスモデルの構築が、市場で成功を収める要だといえます。
シニア向けビジネスを成功させたい場合には、コスモラボにご相談ください!
今後、さらなる成長が見込まれるシニア向けビジネスで成果を高めたい場合には、コスモラボにご相談ください。コスモラボは、シニア市場に特化したマーケティング機関であり、豊富な実績と独自のノウハウを強みとしています。全国に20万人もの会員が在籍するため、精緻な市場調査はもとより、多様なシニア層のニーズや心理を知ることが可能です。
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